2000年5月一枚
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5月31日(水)くもり 「The Nightfly/Donald Fagen」
スティーリーダンの片割れであるドナルド・フェイゲンの大ヒットしたソロアルバムである。これを聞くとスティーリーダンにおけるドナルドの比重が大きかったかというのが良くわかる。そのくらいスティーリーダンなのである。
バックのミュージシャンもこれまた同様に腕利きのスタジオミュージシャン勢ぞろいといった感じでギターではラリー・カールトンが大フューチャーされている。
都会的な音作りをする場合に参考にしたい、そんなアルバムである。
5月25日(木)はれ 「Knockin' On Your Heart/鈴木康博」
通信販売のみによって4月に発売されたヤッサンのニューアルバムである。バンダイとの契約も切れて、一時はどうなることかと思ったのだけど、元ふきのとうの細坪さんとのユニット等意外と活躍の場は多くなっているように思う。で、このアルバムは、やっと一般の流通経路にのって横浜のCDショップで購入したものである。
一曲目のインストから2曲目にかけては一月に国際フォーラムで行われたライブそのまんまの構成である。アレンジ等もほぼライブのまんまであった。一番エレクトリック色が濃いのがこの曲で、他はアコースティックとエレクトリックをミックスした中期オフコースのような感じである。
曲調的にはより個人的な内容が増えたようで、語らなくてもこのアルバムを聞けばわかるのでは?と思うくらい私的に聞こえる。
レコーディングはギター以外のほとんどの楽器が打ちこみによるもので、このあたりはソロ開始当時とあまり変わっていないようである。ただ、音源の進歩によりより、本物に近くなったというのは思い知らされる。個人的には、生で録音して欲しいな。次ぎのアルバムに期待しましょう。
5月22日(月)はれ 「IV/TOTO」
泣く子も黙るグラミー賞を独占したTOTOの4枚目のアルバムです。赤いジャケットが印象的です。
オープニングのヒット曲「ロザーナ」からTOTO初のナンバーワンヒット「アフリカ」まで、これぞTOTOワールドといった曲が並びます。中でも「ロザーナ」はこれがシャッフルの見本だといわんばかりにジェフ(惜しいドラマーを亡くしました)のドラムが跳ねていて気持ちがいいです。
大ヒットしたアルバムではありますが、一枚目のアルバムと何が違うかって言うとそんなに変わっていない気がします(音がちょっと厚くなったくらい)。TOTOのやっていることにたまたま時代がはまったような感じでしょうか。
このアルバムを最後にボーカルのボビーとベースのデビットが脱退し、特にボーカリストについては受難の時代へと移っていきます....。
5月21日(日) くもり 「TOTO/TOTO」
バンドのライブも決まったことでアレンジを練り直すべく久しぶりにTOTOを聞いてみる。
何枚ものアルバムを発売し、幾度ものメンバーチェンジを行っているTOTOであるが、やはりこのファーストアルバムにすべてが集約されているように思う。
プログレっぽいインストのオープニングナンバーで始まるこのアルバムは、それまでにメンバーが培ってきたキャリアが十分生かされており、大ヒットを記録したのも頷ける。歴史に残る名盤であると思う。ルカサーのギターも最近の音と違ってギター本来の音色を活かした音作りで好感がもてます。
5月14日(日) くもり 「Johnny,Louis&Char since 1979/PINK CLOUD」
1994年、惜しまれつつも解散したPINK CLOUDの集大成というべき4枚組ベストアルバムである。中でも未発表のライブテイクはファンにとてはたまらないものであろう。
もともとはJL&Cとしてスタートした最強のロックバンドはその後名前を変えて活動するのであるが、それはただ単に名前が変わっただけでありそこに流れるSPLITは何も変わらなかったように思う。ギター、ドラム、ベースという最強のロックトリオは特にライブで素晴らしいパフォーマンスを繰り広げた。自分も、ライブを見てからのめりこんだパターンである。息の合った演奏とは、まさに彼らのことを言うのであろうと思う。Charの超絶ギターに絡むリズム隊は、合わせる訳で無く、張り合うわけでもない。まさにこの二人がぴったりはまるといった感じである。
解散といっても別に仲たがいしたわけではないし、またどこかでひょっこりと「Free Spirit」で姿を見せてくれるんじゃないかと密かに願っている。
5月9日(火) くもり 「TIN PAN ALLEY BEST 16/TIN PAN ALLEY」
日本のロックが走り始めた頃の、原動力となったグループである。松任谷正隆、鈴木茂、細野晴臣、林立夫をメンバーとするこのグループは、どちらかといえばそのバンド活動よりもプロデューサー・チームとでもいったほうがいいかもしれない。メンバー以外にも多数のミュージシャンを招き作り出されるそのサウンドは現在の歌謡界にも少なからず影響を与えていると感じる。
また、バンドとしての活動では荒井由実のバックが有名である。そこで口説いて嫁さんにしてしまったマンタはさすがというほかは無い。是非とも荒井由実のアルバムも聞いていただきたいと思う。
5月7日(日) くもり 「Welecome to My Life/村上”ポンタ”秀一」
日本の音楽界を支えるトップドラマーのデビュー25周年記念のアルバムである。ポンタに縁のあるミュージシャンが集まって様様なセッションが繰り広げられている。「赤い鳥」をステップ台としてジャンルにこだわらず多種多様なレコーディング、セッションに参加してきたその集大成と呼んでもおかしくないであろう。
何度かライブで見たこともあるし、CDラックを探せばポンタが参加しているアルバムはすぐにみつかるであろう。そうした彼のプレイを聞くと、自分の個性を隠すことなくそれぞれの曲に溶け込めるというのはすごいことだとつくづく感じる。
アルバムのハイライトとを挙げると、全部がハイライトみたいなアルバムである。それぞれのセッションが参加ミュージシャンの持ち味を存分に出している。しいてあげるなら、今は亡き大村憲司が参加しているセッションかな。ラストの多数のドラマー(森高もドラマーとして参加)が参加しているドラム合戦も聞き所のひとつかも。とにかく、一度聞いてみてください。
5月4日(木) はれ 「個人主義/小田和正」
小田和正久しぶりのオリジナルアルバムである。とはいうものの、シングル、タイアップ等の曲も多く収録されておりちょっと新鮮味が薄れているかなと思う反面、それらの既出の曲が新曲と違和感無く並んでいるというのは、最近の音作りが一貫しているという裏づけにもなるだろう。
新曲についてだが、どこかで聞いたようなフレーズが多いように思う。また、詩の内容も、あの頃はああだった、今はこんなふうに考える、君はどうだい、みたいに昔を振返るような内容が多いように思う。あたかも自分の行き方を振返るように。「忘れてた、思い出のように」「the flag」あたりはそんな雰囲気がプンプンしている。
こうしたアルバムが作れるというのは、オフコースという呪縛から解き放たれてようやくそれを振返って見つめることができる、そして前に進んでいける、そんな気持ちになったように感じられる。鈴木康博も自らのシングル発売の時に語っていたが、小田も同様に「オフコース」と言う言葉を自然に使っているように思う。時間がわだかまりを見ずに流し、いい思い出だけが残ったかのように。
小田和正はこのあとツアーに入り、そこで稼いだ(爆)資金をもとに映画作りに入る。だから、次ぎのアルバムが届けられることはずっと先、いや、ひょっとしたらこのあとはもう無いかもしれないと考えると個人的な思い入れたっぷりに作られているこのアルバムは、ラストアルバムになってもいいと考えてリリースされているのかもしれない。
こうして音楽活動にひとつの区切りをつけるかのような形になった小田にも、気持ち的にやり残したことがあるとすれば、それはきっと鈴木康博とのことなのであろう。彼との関係は今でも「とくべつなこと」なのであろうから。
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